竜頭蛇尾の感が否めない。
表紙には「究極の顧客戦略に日本企業はどう立ち向かうか」「アマゾン・エフェクトに勝つ方法を明らかにする」と勇ましい文字が躍る。
しかし中身は、セブン&アイ(7&i)グループで、CIOとしてオムニチャネル(オムニ7)の導入の実務に携わった経歴を持つ鈴木氏の回想譚といったところだ。
出だしは、米国で猛威をふるうアマゾン・エフェクトの最前線が活写される。
後半にはこの脅威への具体的な対応策が示されると思いきや、そうでもない。
「日本はITで世界に遅れをとっている」「ITをもっと本格的に導入すべき」「導入に際してトップはブレてはいけない」などの、一般論が語られるに留まる印象だ。
おそらく本書は、7&iから離れて自由に語れるようになった著者による、日本企業へのIT化提言本として企画されたものかもではなかろうか。それが出版にあたり、「アマゾンエフェクト」という流行語をタイトルに拝借した風に見えなくもない。いや、見える。
『オムニ7で目指したかったこと』あたりが、本書の適当なタイトルではなかろうか。
(454文字。やや少なめ。 一消費者の目線でいえば、熱く語られるオムニチャネルの優位性が判然としない。「7&iグループ店舗で幅広い商品が買えるので便利」ということらしいが、Amazonで買った方が話が早いように思える。)