金融デリバティブの発祥はオーサカ・ジャパン。しかも江戸時代に市場確立。すごいぞニッポン。あっぱれ大阪(当時「大坂」)、さすが商人の町!
・・今ではそう称賛される堂島米市場(以下、米市場)だが、その実態は意外と知られておらず、イメージ先行の感すらある。
本書は、米市場を伝説から引きずり下ろすかのように、残存している当時の資料を基に、丹念に米市場のリアルに迫る。
しかし、読み終わっての感想は「やっぱり米市場スゲー」。
確かに、現在の信用取引と違い、もともとは証券(米切手)の現受け無しであったそうな。
それだと、投機・賭博性が強くなりそうだ。しかし、最終的には例外的に現受けを認める方向にブラッシュアップ。
さらには、各地に堂島の価格を伝達する飛脚や手旗信号のネットワークも、ローテクとは思えないパフォを叩きだす。
欲得が絡むと、人間は頭をひねり、物事が加速度的に進化することが良くわかる。民間パワーだね。
民間市場の進化に眉を顰め、戸惑いつつも、最終的には利用してしまう幕府の姿勢も面白い。
また、幕府の強権に、無視や面従腹背で対抗する大阪商人も、さすがだ。
人間や世間てのは、今も昔もあまり変わらない気がするな。
(498文字! 白川前日銀総裁が帯に推薦文を書いているよ。)