500字でまとめよ!

最近読んだ本を500文字以内にざっくり、バッサリまとめてみました。

及川 琢英 『関東軍 -満州支配への独走と崩壊』(中公新書 2023年5月25日 初版)

近年、緊迫化の度合いを増す国際情勢。それを受け、最近歴史関連の本を読むことが増えた。 世界各地の紛争は、元をたどれば、歴史的な経緯に行きつく。その詳細を知っていれば、紛争関連の報道も一段深く見ることができる。 本書も、そんな歴史への興味の一…

井上 達也『決定版 小さな会社の社長の戦い方』(明日香出版社 2023年12月25日 初版発行)

前回、前々回と、経営学系の面白エッセイを紹介した。 今、オモシロ経営学が、来ているのかな? そう思って、大型書店の経営学のコーナーを訪れたが、そういう感じでもない。あの2冊が突発的な存在だったようだ。 しかし、アカデミックな経営学ではなく、ビ…

高橋 勅徳 『アナーキー経営学 町中に潜むビジネス感覚』(NHK出版新書 2024年2月10日 第1刷発行)

前回取り上げた、岩尾俊兵『世界は経営でできている』に続いて、本書を読んだ。 本書も『世界は』と同様、一般向け経営学エッセイだ。 著者の肩書も、どちらも大学の准教授。しかも発行時期はほぼ同じ(わずか3日違い)。もしかして著者どうし知合いで、時期…

岩尾 俊兵 『世界は経営でできている』(講談社現代新書 2024年2月7日 第1刷発行)

帯の赤太字「一生モノの思考法」に惹かれて購入。 著者は慶応大商学部の准教授。経営学博士。 そう書くと、真面目なビジネス系読み物に思えるだろうが、実際には、経営に絡めた面白エッセイ。 自らの文体を「令和冷笑体」と称する。あきらかに、その昔、椎名…

阿部 恭子 『高学歴難民』(講談社現代新書 2023年10月20日 第1刷発行)

結論から言うと、期待した内容ではなかった。途中で読むのをやめた。 タイトルを見て、大学や大学院を卒業しても、その後の仕事につながらないという社会的ミスマッチをを考察・分析した本かと思って手に取った。 自分自身もかつて、一応大学を出たものの、…

野口 悠紀雄 『プア・ジャパン 気が付けば「貧困大国」』(朝日新書 2023年9月30日 第1刷発行)

この著者の本を読むのは始めて。 著者が経済関連の書籍を多くものしている、有名大学の教授ということは知っていた。 しかし、一時やたら仮想通貨を過大評価していたり、その後も生成AIだのリモートワークだの、時々の話題に食いつく多作ぶりが「売らんかな…

高石 鉄雄 『自転車に乗る前に読む本』(講談社ブルーバックス 2023年10月20日 第1刷発行)

スマホニュースで紹介記事を見かけ、購入。 タイトルに「自転車に乗る前に」とあるが、自分はロードバイクに乗り始めて既に5年以上。自分なりに効果的な漕ぎ方を漠然と追い求めてはいた。しかし科学的メカニズムにまで深く興味を持つことはなかった。 レース…

前田 昌孝 『株式投資 2024 新NISAスタート、大転換を読み解く』(日経プレミアシリーズ 2023年11月9日 1刷)

以前、同著者の『深堀り!日本株本当の話』という書籍を、本ブログで取り上げたことがあり、名前は知っていた。 たまたま昨年末、本作を書店で見かけて購入。 調べてみると、2022年より、『株式投資 20XX』と題した書籍を、年一冊のペースで出版しているよう…

菊地 誠壱 『借金を返すためにマグロ漁船に乗っていました』(彩図社 Kindle版 2022年9月20日)

Kindle Unlimitedを通して、思わぬ著作に遭遇することがある。 本書もその一つ。 タイトルからしてインパクト絶大。思わずダウンロード。 読んでみると、少々タイトルのイメージとは内容が異なる。 いわゆる「借金のかたでマグロ漁船」というわけではなく、…

湯本 雅士 『新・金融政策入門』(2023年7月20日 第1刷発行)

タイトルに「入門」とあるが、一般向けにしてはレベルの高い本だ。 近年話題の、金融政策関連の経済トピックを、アカデミックな視点から解説する内容となっている。 網羅的であり、ゆえに結論に向けての流れやメッセージ性があるわけではない。また、一度読…

齋藤 幸平 『ゼロからの「資本論」』(2023年1月10日 第1刷発行)

かつて大学の経済学部では、近代経済学(近経)とマルクス経済学(マル経)の基礎的な授業が必修だったと聞く。 私も大学では経済を専攻したが、共産圏崩壊後の世代故、マル経は影も形もなかった。 しかし、今になり思うのだが、市場原理ばかりを論ずる近経…

神野 正史 『暗記がいらない世界史の教科書』(2020年1月14日 第1刷 第1刷 発行)

かつての受験時代、世界史は得意科目であった。あれから幾星霜、知識はあらかた抜け落ちている。 世界史、少し学びなおしてみっか。そんな思いから、本書を手に取った。 よくある「世界史の学びなおし本」だと思って。 ところが、その内容は期待したものと毛…

安達 裕哉 『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社 2023年4月18日 第1刷発行)

話し方のノウハウ本である。 私は話しが上手いほうではないので、書店でこの手の本が目に付くと、つい買ってしまう。 実際、これまでも、当ブログで「話し方本」を幾つか取り上げている。 役に立った本もあれば、そうでないものもある。 本書は・・正直、後…

新庄 耕 『地面師たち』 <集英社文庫 2022年1月25日 第1刷>

珍しく小説を読んだ。 昔はよく読んだが、歳を食ったせいか、すれっからしになったせいか、「所詮作り話でしょ」と、フィクションにあまり興味を持てなくなってしまった。 しかし、本作は、2017年に世間を騒がせた「積水ハウス地面師事件」をモチーフとして…

池上 彰 佐藤 優 『黎明 日本左翼史』(講談社現代新書 2023年7月20日 第1刷発行)

両著者による『日本左翼史』シリーズ、既刊3冊で完結と表明されていたと記憶するが、新作が出た。 既刊本は左翼運動の、戦後隆盛期/学生運動/衰退期 にそれぞれ焦点を当てる。3冊目で現在に達しているのでネタ切れしそうなものだが、本書は趣向を変えて戦…

東 大作 『ウクライナ戦争をどう終わらせるか 「和平調停」の限界と可能性』(岩波新書 2023年2月21日 第1刷発行)

終わりの見えぬウクライナ戦争。 本書は、今後起こりうるシナリオを複数想定し、その中で可能性の高いものについて深く考察、戦争終結(もしくは休戦)への道筋を探る。 そして本書が落としどころとして着目するのが、戦争初期段階の停戦協議に於いてウクラ…

安達 宏昭 『大東亜共栄圏 帝国日本のアジア支配構想』(中公新書 2022年7月25日 初版)

ウクライナ戦争の影響だろうか、最近、近代史に興味が湧く。その一環で本書購入。 大東亜共栄圏といえば今日、戦前戦中における日本の帝国主義の象徴としてネガティブ語られるが、一部ネトウヨ連中は欧州列強からのアジアの開放として好意的に捉えることもあ…

手嶋 龍一 佐藤 優 『ウクライナ戦争の嘘 米露中北の打算・野望・本音』(中公新書ラクレ 2023年6月10日 発行)

手島・佐藤コンビ本、現時点での最新刊。 地政学要素に重きをおいた、少々大げさな語り口が特徴で、個人的には「知識・教養」ではなく「娯楽」感覚で読むことが多い。 ただ、本書については、ロシアによるウクライナ侵攻(以下 侵攻)が注目される昨今、ロシ…

渡辺 努 『物価とは何か』(講談社選書メチエ 2022年1月11日 第1刷発行)

タイトルからして、本格的で、やや固そうな経済読み物に見える。 万人受けする書物ではないように思うが、なぜか多くの書店で平棚に積まれている。 「物価高が何かと話題となる昨今、時流にマッチして注目されているのかな?」そう思い購入。 そして読んでみ…

小林 基喜 『さよなら、野口健』(集英社インターナショナル 2022年3月30日 第一刷発行)

以前「タレント登山家」というべき栗城史多氏の生涯を追ったノンフィクション、河野啓『デス・ゾーン』を読んだことがある。 実力に見合わない挑戦を行い、悲劇的な最期を迎える栗城氏。しかし、いかに「登山家」として世に出るか、その自己プロデュースと行…

巽 宇宙 『元東大生格闘家、双極性障害になる』(日本評論社 2023年2月15日 第1版第1刷発行)

巽 宇宙(たつみ うちゅう)。懐かしい名前だ。 90年代、彼は「修斗(しゅうと)」という、今でいうところのMMA(打撃・投げ・寝技ありの「総合格闘技」)の、日本における源流というべき競技の中心選手の一人であった。 自分もかつて、多少似た競技をかじっ…

大木 毅 『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』(岩波新書 電子書籍版 2019年12月26日 発行)

新刊時に書店で見かけ気になったが、なんとなく買いそびれ。 そんな本が Kidle Unlimited でレコメンド表示されて存在を思い出すことがある。本書もそうであった。 時あたかもロシアによるウクライナ侵攻の戦争のさなか。戦争というものに対する興味は現在の…

廣末 登 『テキヤの掟 祭りを担った文化、組織、習慣』(角川新書 2023年1月10日 初版発行)

未知の世界を覗き見るのも読書の楽しみ。 それがテキヤの世界となるも、なおさら。 典型的な「異世界本」だと期待して購入。 ただ、期待した割には内容は薄味であった。 内容的には、著者が経験したテキヤでのバイト経験(序章)と、取材した二人のベテラン…

雨宮 純 『あなたを陰謀論者にする言葉』(フォレスト新書 Kindle版 2021年10月26日)

Qアノンの米議会襲撃で陰謀論に興味を抱き、読んだ本の一つ。 本書では、陰謀論に限らず、宗教カルト、疑似科学、怪しげな健康法、近年「スピリチュアル」と名を変えたオカルト等、怪しげな言説を広汎に解説する。 これら「トンデモ」系の話は、事件を起こし…

西岡 杏 『キーエンス解剖 最強企業のメカニズム』(日経BP 2022年12月26日 第1刷第1版発行)

超高給企業として有名なキーエンス。 投資界隈では、その営業利益率の高さが注目を集める。 その突出した高収益の秘訣を追求したのが本書・・と言いたいところだが、内容が薄味な感が否めない。 本書では、営業面(人材育成、情報共有、評価基準)、顧客対応…

小宮 一慶 『人はあなたの何を見ているのか』(エムディエヌコーポレーション 2023年1月1日 初版第1刷発行)

「以前で株式投資関連の著書をブログで取り上げた小宮一慶の新刊だな」。書店で見かけて手に取った。 この著者は経済・ビジネス系の本を多作しているが、各作毎にターゲット読者層が明確に設定されている。 中をパラパラ眺めると、本書はビジネスエリートを…

千々和 泰明 『戦争はいかに集結したか』(中公新書 2021年7月25日初版)

近代以降の戦争について、その収束のしかたを研究した書籍である。 ロシアによるウクライナ侵攻が日々報道される中、タイムリーな内容ゆえ手に取った。 本書で考証対象となっているのは、二度の世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争・アフガン戦争・…

左巻 健男 『あなたもだまされている 陰謀論とニセ科学』(ワニブックスPLUS新書 2022年4月25日 初版発行)

Qアノン米議会襲撃事件がきっかけで、久方ぶりに陰謀論に興味を覚えた。 そこで前回取り上げた『陰謀論 民主主義を揺るがすメカニズム』を読み、次いで本書を手に取った次第。 ただし、本書は読んでみると薄味。 「アポロ疑惑」「ロズウェル事件」「フォック…

秦 正樹 『陰謀論 民主主義を揺るがすメカニズム』(中公新書 2022年10月25日 発行)

一時世を騒がせたQアノン等の政治的な陰謀論がどのような形で世に広まるのか、どのような層に受容されているのかを、統計的推論を用いた「サーベイ調査」で追求したのが本書。 その結果「SNSが陰謀論を広める」「知識不足が陰謀論を受容しやすくする」という…

エマニュエル トッド 『第三次世界大戦はもう始まっている』(文春新書 2022年6月20日 第1刷発行)

ロシアによるウクライナ侵攻以来、地政学的テーマを扱う本が増えた。本書もその一つ。 タイトルの強烈さが際立っており、手に取ってしまった。 著者はフランスの人口・人類学者であり、その視点からの「ロシアと西欧の文化が相当異なる」と指摘する。 ロシア…