失敗した。
いや、この本の内容が悪いということでは全くない。
現在では絶滅危惧種となった「総会屋」。その全盛期の実態、手口、そして彼らと相対する企業側の対応実例、巻き起こされた事件など、総会屋にまつわる歴史をコンパクトにまとめた、珍しい本だ。
本書を一読すれば、総会屋が、単に粗暴でコワモテなだけの存在でないことが理解でき、その実像をイメージとしてつかむことができる。
煽情的にならず、真面目で淡々とした語り口に好感が持てたし、興味深く読めた。
ただ、直前にに許永中『海峡に立つ』を読んでしまったのがまずかった。
総会屋に闇紳士、どちらも闇経済に足を突っ込んだ、アウトローな立ち位置の存在だが、許永中のほうがスケールが断然デカい。
総会屋の事件と言えば、企業の弱みを握ったり、脅したりして、利益を得るパターンがほとんど。許永中の事件にくらべて、構造が単純で、飛び交うマネーの金額も桁が少ない。そのため、本書で紹介される総会屋を代表する面々すら、どうにも小悪党に見えてしまう。
野次馬的読者から見れば『海峡に立つ』のほうがずっとエンタメ性に富んで、面白いね。
って、まるきり勝手な意見でスミマセン。
(490文字! 現在でも総会屋的な連中は、目立たずとも、少しはいるのだろうな。時代につれて、形を変えつつ・・)