帯には「自衛隊特殊部隊が動くとき」「現場のリアルがここにある!」とある。
さらには、石破茂、佐藤優、成毛眞という濃い面々の推薦コメントも。
そのわりには、妙にチープな表紙イラストが気にかかるが、興味を惹かれ、内容を見ずに購入。
読んでみると、小説であった。
北朝鮮の動乱に乗じて、自衛隊特殊部隊がかの国に潜入し、邦人(拉致被害者等)を奪還するというストーリーだ。
ミリタリー冒険小説の日本版と言えようか。その手の本にありがちな、国際謀略や組織の力学も絡む。
著者は自衛隊の「特殊部隊」の創設に深くかかわったという人物というのが一つウリになっている。
そのため、組織の描写はリアル感がある。
ただ、本職の小説家でないためか、肝心の人物描写が甘く、どの登場人物も「顔がない」印象だ。
そのため、まったくキャラクターに感情移入することなく、淡々と読み終えた。
大掛かりな出兵の割には、クライマックスの戦闘は小規模。冒険小説の肝であるスリリングな展開もなく、今一つ盛り上がりに欠ける。
エンタメ性は薄く、「自衛隊特殊部隊もし戦わば」が主題のシミュレーション小説といったところか。
ミリタリーマニア向けの本と思えた。
(491文字! 自衛隊に精通した作家が書いた、自衛隊が主役のリアル系ミリタリー小説。珍しい作風の本だとは思う。)