政治家の本を読むことはほぼないが、岸田総理誕生直後に、たまたま書店で見かけて、つい購入。
如何な主義主張を持つ人なのか、という興味から読んだのだが、その「ビジョン」が語られるのは、第一章~二章のみ。全ページ数からしたら半分以下だ。
第一章では「アベノミクスは成功であったが、副作用として格差が広がった。路線を調整すべき時だ」という主張が述べられる。正直、目新しさはない。
第二章では「広島生まれの人間として、核廃絶を訴えたい。しかし重要かつデリケートな問題でもあるので、主張の仕方に気をつけねば」と訴える。良く言えば現実的、悪く言えば煮え切らない。
熱い思いや理想を語るわけでもなく、食い足りない読後感。逆に言えば、ハッタリ色の薄い、正直な人なのかな~という印象。
第三章以降は、自身の来歴や、政治の政界でのエピソードが語られる。
世襲政治家としてのあゆみ、街頭演説の技術、集票の手法などは、未知の世界を覗くという意味で、単純に読み物として面白い。
また、いわゆる「加藤の乱」では渦中の人となり、その視点から描かれる政局の風景は、なかなか臨場感があった。
内容的にはやや期待外れであったが、それなりに興味深く読めた。
(500文字! 親本は2020年9月、敗れた総裁選の前に、出版されている。当時、急いで制作したせいだろうが、イマイチまとまりのない本だ。)