株好きゆえ、書店で見かけて中身も見ずに購入。
本書冒頭によると、日経電子版に10年間連載された、株をテーマとしたコラムの選集のようだ。
読んでみると、タイトル通り、内容はかなり深く、濃い。
証券業界内の話題・問題を取り上げた項も多く、仕事として株式市場に関わる人向けの色合いが強い書籍だ。ゆえに、単なる株好きの私にはちょいハードルが高かった。
ただ、東証の市場分割変更、東芝3分割案など、タイムリーな話題は、解説記事として興味深く読めた。
本書によると、著者の得意技は、データを集めて、エクセルでグラフ化して分析することだそうな。
その得意技がさえる最終章「虚像より実像を求めて」は面白かった。
公開データをもとに、レジェンド投資家ウォーレン・バフェットが率いるバークシャー・ハサウェイの手法が、巷で言われるような長期投資ではない点、また運用成績も、単にAppleという大穴を引き当てたのが大きいと指摘する。
さらには、同様の手法で「株式がインフレヘッジになる」という俗信(?)を否定する。
データのとり方により見え方も違ってくる面はあろうが、一つの説として説得力あり。
この最終章だけでも、本書を買った価値はあった。
(499文字! 著者の日経新聞社嘱託定年を記念しての出版である模様。)