経済学の世界では、短期・中期・長期・超長期の、4種類の景気循環波動があるとする説が知られている。
その4つの波がすべて上向く、めったにない黄金期が2018年ぢゃ!
さらには2020年の五輪もあいまって、2020年まで好景気が続くぞいッ!
・・というのが、本書一番の趣旨である。
そう書くと、胡散臭系の投資本におもわれるかもしれないが、内容はいたって真面目。著者の肩書も、大手ファンドの「景気循環研究所長」にして、内閣府の研究会委員。
むしろ経済理論読み物といったところだ。
ただ、学者肌の方ではないようで「過去の分析より、これからどうなるのかが知りたいタイプ」とのこと。景気循環論の歴史や、自身の研究・分析の根拠など、硬派な内容が大半ながら、エッセイ風の語り口もあいまって、読んで面白い。
景気波動の分厚い分析は説得力がある。しかし、一方で五輪・万博等のエポックが波動に大きな影響を与えると読める記述もあり「卵が先か、鶏が先か」的なロジックの弱点が感じられなくもない。
とはいえ、このところの株価や失業率等を見ると、おおむね景気動向の見立ては当たっている気がする。
4つの波が揃って上向く、激レア超景気、期待したい。
(498文字! ちなみに、2018年4月24日が1刷。この内容で、短期間に重刷しているところがすごい。おそらく、個人投資家を中心に、固定ファンがいるのだろう。)