500字でまとめよ!

最近読んだ本を500文字以内にざっくり、バッサリまとめてみました。

2021-01-01から1年間の記事一覧

池上 彰 佐藤 優 『激動 日本左翼史』(講談社現代新書 2021年12月20日 第1刷発行)

共産党と社会党の盛衰を主題とした前作『真説 日本左翼史』から半年。 続編の本書は、過激化し、その後衰退した新左翼を取り上げる。 「学生運動」「新左翼」「過激派」という左翼運動が60~70年代にあったことは知っている。しかしそれらの関連性がよくわか…

岸田 文雄 『岸田ビジョン 分断から協調へ』(講談社+α新書 2021年10月15日 第1刷発行)

政治家の本を読むことはほぼないが、岸田総理誕生直後に、たまたま書店で見かけて、つい購入。 如何な主義主張を持つ人なのか、という興味から読んだのだが、その「ビジョン」が語られるのは、第一章~二章のみ。全ページ数からしたら半分以下だ。 第一章で…

斎藤 幸平 『人新世の「資本論」』(講談社現代新書 2020年9月22日 第1刷発行)

カバーには「2021年新書大賞」の表記が踊り、売れているらしいが、正直あまり感じ入るところはなかった。 一読して思った。なぜそこまでマルクスを復権したがるのか。未発表の書簡等まで持ち出して、正当性を訴えるのはなぜ? マルクスの労働・賃金の本質に…

宮坂 昌之 『新型コロナワクチン 本当の「真実」』(講談社現代新書 2021年8月20日 第1刷発行)

なんだか書店に散見される、いわゆる「嫌ワクチン本」を思わせるタイトルだが、実際はその真逆。 大阪大学免疫フロンティア研究センター招へい教授による、新型コロナワクチン推奨の本である。 ただ、著者はしばらく前まで、安全性を担保するデータが不十分…

柿埜 真吾 『自由と成長の経済学』(PHP新書 2021年8月24日 第1版第1刷)

格差拡大や温暖化等を契機に、最近マルクスや社会主義の再評価気運がある。 それを否定するのが本書。帯には「マルクス主義の亡霊に惑わされるな」「資本主義と経済成長こそマイノリティーと環境に優しい」。 その論拠は、ベストセラー本「ファクトフルネス…

山本 康正 『2030年に勝ち残る日本企業』(PHP新書 2021年8月31日 第1版第1刷発行)

書店で本書のタイトルが目に留まり、「投資の参考になりそうだ」と思い、詳細確認せぬまま手に取りレジへ。 その後、読み始めて気づいた。 以前このブログでも取り上げた『2025年を制覇する破壊的企業』と著者が同一であることに。 うかつであった。出版社が…

松下 竜一『狼煙を見よ』(河出書房新社 2017年8月30日発行)

かつて三菱重工爆破事件等を起こしたことで知られる過激派「東アジア反日武装戦線」。 その主犯格への取材を通し、事件に至るまでの過程を詳らかにしたのが本書である。 主犯格は北海道出身で、戦前のアイヌに対する強制的な日本同化政策に強い怒りを持つ。 …

中藤 玲 『安いニッポン 「価格」が示す停滞』(日経プレミアシリーズ 2021年3月8日 1刷)

帯に大書きされた「年収1400万円は低所得」に興味を惹かれ購入。 かつて日本の物価高は世界的に有名であったが、今は逆に安い。そのことを示す具体例が本書では列記される。 確かに、日本のデフレ傾向は根強く、世界的に見て、日本の賃金、物価等が相対的に…

古市 憲寿 『絶対に挫折しない日本史』(新潮新書 2020年9月20日 発行)

今はどうか知らないが、大昔、私が学校で学んだ歴史は、個人名と年号がやたらと出てくる教科であった。 つまり歴史=それらの暗記。学校のテストでも、入試でもそれしか問われなかった。 詰め込みの暗記は、必要がなくなるとすぐに薄れていく。 そのため、今…

椿 進 『超加速経済アフリカ』(東洋経済新報社 2021年6月10日 第1刷発行)

内容を一言で表せば、アフリカのイメージを覆す本だ。 灼熱・砂漠・未開・飢餓・・そういったマイナスイメージが、偏ったものであることを、ベストセラー本『ファクトフルネス』の手法を拝借することで(=データ明示することで)払拭して見せる。 例えば、…

橘 玲 『得する生活』(幻冬舎 2003年11月30日 第1刷発行)

このブログでは、基本的に近刊書籍を中心に記事を書いている。 しかし、本書はかなり昔の本だ。古書店でごく安く手に入れたが、内容が面白かったので、例外的に取り上げたいと思った次第。 著者は作家で投資家。そのため、投資や利殖、そのほか生活経済(?…

池上 彰 佐藤 優 『真説 日本左翼史』(講談社現代新書 2021年6月20日 第1刷発行)

「左翼」には謎が多い。 自分の漠然とした認識だと、左翼=社会・共産主義=マルクス。つまり政治・経済上の主義というイメージだ。 しかし、そうだとすると、世の社会主義国がほぼ崩壊した現在、左翼は意味を失ったのでは? 加えて、最近「左翼はリベラルと…

林 則行 『伝説のファンドマネジャーが教える 図解 株の暴落サインを見抜く方法』(宝島社 2021年3月3日 第1刷発行)

結論を最初に書いておくと、期待はずれな内容であった。 本記事を書いている時点では、よく「株高」という言葉を耳にする。 個人的には必ずしもそうは思っていないが、株価急落も一応考慮に入れておきたい。その思いから本書を購入。 著者の略歴はなかなかス…

西村 秀一 『新型コロナ「正しく恐れる」II 問題の本質は何か』(藤原書店 2021年6月30日 初版第1刷発行)

まじめな学術系の出版社から出た、新型コロナの解説・提言本である。 帯には「呼吸器系ウイルス感染症の第一人者による提言」とある(著者の肩書は国立病院機構のウイルスセンター長)。そのため、内容的には十分信用できるし、良書であると思う。 ただ、こ…

山本 康正 『2025年を制覇する破壊的企業』(SB新書 2020年11月15日 第1刷発行)

米国のIT企業が世界の産業を席巻する未来予想が一冊通して述べられている。 GAFA、そしてテスラ推し。さらに、日本ではあまり知られていない、米国の新興IT企業が次々と紹介される。 その潮流に日本は飲み込まれ、旧来型企業の淘汰は避けられないと語る。そ…

長沼伸一郎 『現代経済学の直観的方法』(講談社 2020年4月8日 第1刷発行)

私は学生時代、経済学を専攻していた。しかし、結局経済のことが良くわからぬまま卒業してしまった。 今はどうか知らぬが、当時受けた講義は「需要・供給曲線」にはじまり、経済を部分的に切り取りモデル化した解説が目立ち、聞いても「だから何?」としか思…

岩瀬 達哉 『キツネ目 グリコ森永事件全真相』(講談社 2021年3月9日 第一刷発行)

毒物入り食品を小売店に忍ばせるという無差別テロ的な脅しで、食品メーカーを恐喝した「グリコ森永事件」。 世間を震撼させ、警察は総力を上げて捜査したものの、犯人は捕まらぬまま時効を迎えたことは良く知られている。 犯人は「かい人21面相」と人を食っ…

池上 彰 的場 昭弘 『いまこそ「社会主義」 混迷する世界を読み解く補助線』(朝日新書 2020年12月30日 第1刷発行)

少々古臭いイデオロギー「社会主義」、そこにあえてスポットを当てた本だろうか・・書店で見かけ、興味を惹かれて購入。 確かに近年、新型コロナ以降、社会主義寄りと思われる政策が話題になることが多い。 国・自治体主導のワクチン接種にしてもそうだし、…

ジェラルド A エブシュタイン『MMTは何が間違いなのか? 進歩主義的なマクロ経済政策の可能性』(東洋経済新報社 2020年12月30日 発行)

感情的な反発や拒絶ではない、そんなMMTへの批判本が読みたい。 そう思っていたところ、書店の棚で本書に遭遇。 読んでみると、まさに望んでいた内容であった。 MMTを、「突如湧き出た奇天烈理論」とみなさず、従来の学説からの系譜であることを示し、MMTに…

佐高 信 『佐藤優というタブー』(旬報社 2021年3月10日 初版第一刷発行)

プロの論客、というべき人たちが存在する。 本書の著者の佐高氏もそうだし、また本書が批判の対象としている佐藤優もそうだ。 世の中にあまた存在する思想・価値観の代弁者として、彼らは必要だ。 しかし、その一方で、私は彼らを「論壇という名のリングで闘…

デイビッド セイン『地図でスッと頭に入る アメリカ 50州』(昭文社 2020年9月15日 1版1刷発行)

昨年11月に世界中の大注目を集めた、トランプ vs バイデンの米大統領選。 この対決により、米国が一枚岩にはほど遠い、複雑な多様性を持つ国であることが、改めて認識された。 そこに興味を持つと、米国の各州のことがもっと知りたくなるもの。 各州のキャラ…

アンデシュ ハンセン 『スマホ脳』(新潮新書 2020年11月20日 発行)

帯の惹句「スティーブ・ジョブスはわが子になぜiPadを触らせなかったのか?」「最新研究が示す恐るべき真実」が目に留まり、つい購入。 内容的には、スウェーデンの著名な精神科医が、スマホが人に与える悪影響を、研究結果を交えながら指摘するものとなって…

岩田 健太郎 『僕が「PCR原理主義」に反対する理由』(新潮社 2020年12月12日 第一刷発行)

本書の内容は、前著の『丁寧に考える新型コロナ』と概ね同じ。 そのため、新型コロナやPCR検査に関する著者見解が目当てなら、どちらか1冊読めばいいいかな。 しかし、本書には独自コンテンツが付け加えられており、それが第一章の『僕の「医者修行」時代』…

細田 昌志 『沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修 評伝』(新潮社 2020年10月30日 発行)

近年、格闘技やプロレス方面で、関係各者への聞き取り取材・綿密な裏取りをおこなった人物評伝がちょっとした流行りになっている(※)。 ただし、本書の主人公は選手ではなく、プロボクシング勃興期のやり手プロモーターであり、後にキックボクシングを世に…

手嶋 龍一 佐藤 優 『菅政権と米中危機』(中公新書ラクレ 2020年12月10日 発行)

副題に『「大中華圏」と『日米豪印同盟』のはざまで」とある通り、米中対立が本書のメインテーマだ。 出版時のタイムリーなネタとして「菅政権」も取り上げているが、全4章のうち菅新政権が主役なのは第1章のみ。他3章はすべて「米国(+同盟国)vs 中国覇…

西浦 博 (聞き手 川端 裕人) 『理論疫学者・西浦博の挑戦 新型コロナからいのちを守れ!』(中央公論新社 2020年12月10日 初版発行)

感染症数理モデルの専門知識を武器に、新型コロナの感染拡大を防ぐため、人どうしの「接触8割削減」を提唱。『8割おじさん』の二つ名で知られることになった医学者、西浦博。 日本では「レア者」な数理モデルの使い手である西浦氏が、政府の専門家会議に緊…

牧村 康正 『ヤクザと過激派が棲む街』(講談社 2020年12月1日発行)

Kindleの新刊レコメンドに表示された本書のタイトルを見て、最初は空想小説かと思った。 しかし、概要を見るとノンフィクションのようだ。興味を覚えてそのまま購入。 「学生運動→新左翼→衰退」の経緯から傍流としてはみ出てきた過激派残党達が、日雇いの町…

奥山 真司 『さくっとわかる ビジネス教養 地政学』(新星出版社 2020年6月25日 初版発行)

地政学。 よくわからない学問名だ。 たとえば、大学で「地政学部」なんて、聞いたことない。 しかし、国際情勢を論じた本では「地政学的な見地から」云々などという表現はしばしば目にする。 主に大国の、国益のぶつかり合い、そしてそのための戦略を論じた…

太田 尚樹 『世紀の愚行 日本外交失敗の本質』(講談社文庫 2020年11月13日 第一刷発行)

上記表題の他にも「太平洋戦争・日米開戦前夜」「リットン報告書からハル・ノートへ」という副題がついている。 なぜ日本は、とうてい勝ち目のない米国と開戦するにいたったか? この点がテーマであろうことは表紙を見ただけでわかる。 戦時中日本軍の組織研…

岩田 健太郎 『丁寧に考える新型コロナ』(光文社新書 2020年10月30日 初版第1刷発行)

4月に緊急出版された前作『新型コロナウイルスの真実』に続く新型コロナの解説書。 検査や治療については、前作から更に専門的に掘り下げた内容となっており、とても参考になる。 加えて、マスクについての考え方や、緊急事態宣言にも章を割き、専門家とし…