地政学。
よくわからない学問名だ。
たとえば、大学で「地政学部」なんて、聞いたことない。
しかし、国際情勢を論じた本では「地政学的な見地から」云々などという表現はしばしば目にする。
主に大国の、国益のぶつかり合い、そしてそのための戦略を論じた学問なんだろうな、という漠然としたイメージはある。
もうちょっと明確に「地政学」を把握したいと思い、本書を手に取った。
タイトルに「ビジネス教養」とあるので、大人向けの本だが、そうとは思えないほど図解重視。
全ページカラーで、文章よりも、妙にユルいイラストに重きを置いている。
主だった地政学上のテーマが一問一答的にまとめられており、たしかにサクッと理解できる構成になっている。
そこから見えてくるのは、大国どうしの利益、そして価値観のぶつかり合い。
本書の結びとして「安易な理想論や平和論に流されず」国際情勢を分析するためのツールが地政学であるとしている。
軍事や覇権主義と親和性の高い学問なので、学校教育には向かないだろう。
しかし、世界のリアルとして、こういう知識は持っておいた方が良いかも。
その方が、戦争がテーマ映画やスパイ小説が、より深く味わえるだろうし。
(492文字! 著者紹介として「防衛省の幹部学校で地政学は戦略学を教えている」とあるので、ごく一部で学べる学問という位置づけなのだろう。)