Kindleの新刊レコメンドに表示された本書のタイトルを見て、最初は空想小説かと思った。
しかし、概要を見るとノンフィクションのようだ。興味を覚えてそのまま購入。
「学生運動→新左翼→衰退」の経緯から傍流としてはみ出てきた過激派残党達が、日雇いの町「山谷」に流れ着いた。そこで労務者の側について闘争を行い、労務手配を生業としていた地場の暴力団と衝突。
普通の労働運動なら暴力団に対抗すべくもないが、そこは過激派。カチコミに来た暴力団をフルボッコで返り討ちに。もちろん暴力団も黙ってはおらず反撃・・という、ごくローカルなタタカイの歴史が関係者の証言をもとに活写されていく。
読んでいて思う。なんて不毛な。
費やされたエネルギーと、得られる利益が全く釣り合わない。
時代に取り残された過激派が、闘争の場を求め、地域限定のタコつぼ的闘争にハマりこんでしまったように見える。
青春時代に心酔した価値観に、一生がんじがらめ。そして、手段(闘争)が目的になってしまっている。
とはいえ、それは私が、学生運動や過激派が暴れた当時を知らぬ世代ゆえの感想かもしれない。
彼らと同じ空気を吸っていた人であれば、違った感慨があるのかも?
(498文字! 本書は過激派側の記述が8~9割を占めるが、残りを暴力団とそれに近しい人物の証言も取り上げている。両者の顔を立てるようなスタンスが面白い。両方怖いもんね。)