500字でまとめよ!

最近読んだ本を500文字以内にざっくり、バッサリまとめてみました。

2022-01-01から1年間の記事一覧

エマニュエル トッド 『第三次世界大戦はもう始まっている』(文春新書 2022年6月20日 第1刷発行)

ロシアによるウクライナ侵攻以来、地政学的テーマを扱う本が増えた。本書もその一つ。 タイトルの強烈さが際立っており、手に取ってしまった。 著者はフランスの人口・人類学者であり、その視点からの「ロシアと西欧の文化が相当異なる」と指摘する。 ロシア…

唐鎌 大輔 『「強い円」はどこへ行ったのか』(日経プレミアシリーズ 2022年9月8日 一刷)

最近の円安傾向を受け、政府・日銀を非難したり、日本経済の危機を主張する本は数多い。 しかしそれらの多くは「売らんかな」の意図含みの煽情性が感じられる。そして内容をパラ見しても論理が単純であったりする。 もっと中立的なスタンスで、為替の現況を…

下斗米 伸夫 『プーチン戦争の理論』(集英社 インターナショナル新書 2022年10月12日 第一刷発行)

帯コピー「プーチンの頭の中がわかる、入門書にして決定版」に惹かれ購入。 ウクライナ情勢には連日注目しているが、この戦争に於けるロシア側の理屈見えづらく、気になっていた。 日本入ってくる西側経由の情報では、ロシアの行為を単に「侵略」とする向き…

黒川 祐次 『物語 ウクライナの歴史 ヨーロッパ最後の大国』(中公新書 2002年8月25日初版)

ロシアによるウクライナ侵攻後、ネットには関連記事があふれ、次いで緊急出版的な形で軍事、政治、経済など各方面からの解説・分析本が多数世に出た。 しかし、それらよりも、もっと根本的な事が知りたい。 ウクライナとロシアはどのような歴史関係を持つの…

櫻井 義秀 『霊と金 スピリチュアル・ビジネスの構造』(新潮新書 2009年5月20日 発行)

帯付きで書店の平棚に置かれていたので、昨今の「旧統一教会」問題を受けての新刊かと思い購入。 実際には2009年発行の本を、時事ネタに合わせて急遽復刊増刷した書籍であった。 内容的は、霊感ビジネスに一時取り込まれた人の実例エピソード、宗教の現況と…

池上彰 佐藤優 『世界の〝巨匠〟の失敗に学べ! 組織で生き延びる45の秘策』(中公新書ラクレ 2022年7月10日 発行)

けったいな本である。 タイトルだけみると、サラリーマン向けの処世術かと思うであろう。 しかし、実態は、現代を含む歴史上の有名人の生きざま解説である。 そして、その解説を、最後にチョロッ処世訓に結び付けて各章を〆るという、よくわからないコンセプ…

山本 隆行 『伝説の編集長が教える 会社四季報はココだけ見て得する株だけ買えばいい』(東洋経済新報社 2022年6月16日 第1刷発行)

タイトルだけ見ると、必勝法まがいのお気楽投資本のように見えなくもない。 しかし、中身は本格的。「ココだけ見て」と言っていながら、ボリュームは300頁に及ぶw 四季報の説明だけにとどまらず、財務諸表の見方の基本から、実践的なファンダメンタルズの分…

松江 英夫 『「脱・自前」の日本成長戦略』(新潮新書 2022年5月20日 発行)

内容、薄っすぅ! この一言に尽きる。 たまたま待ち時間が生じる状況があり、その前に立ち寄った書店で、時間つぶし用に見ずテンで購入。 読んでみると、本書の主張は、タイトル通り「DXなどをフルに利用し、産官学の有効な連携を目指し、経済成長を遂げまし…

太田 泰彦 『2030 半導体の地政学』(日本経済新聞出版 2021年11月19日 1版1刷)

世界的な半導体不足と言われて久しい。 自分のささやかな株式投資においても日々影響が感じられる。 ゆえに半導体とその業界について興味はある。しかし、ごく表面的な知識して持ち合わせていない。 そのため、斯界を深く掘り下げた本は無いかと探していた時…

大内 孝夫 『音大崩壊』(YAMAHA 2022年6月20日 初版発行)

「音大」なるものには全く縁はないが、それゆえ逆に、未知の世界に興味がわく。 それにしても「崩壊」とは穏やかではない。余計に興味がつのる。 インパクトのあるタイトルを目にして、思わず買ってしまった。 しかし読んでみると、中身は薄味。 音大が直面…

的場 昭弘 『資本主義全史』(SB新書 2022年5月15日 初版第1刷発行)

大きく出たタイトルに惹かれ購入。 読んでみると、近世末から現代にかけての産業・資本の発展を時系列的に解説した、壮大な経済史であった。 本書の特徴は、分かりやすさ。 平易な言葉で紡がれた経済の歴史が、一つながりとなって、するすると頭に入ってくる…

大前 研一 『経済参謀 日本人の給料を上げる最後の処方箋』(小学館 2022年4月27日 初版第1刷発行)

本書のテーマは、少子化対策、教育改革、そして道州制的な国家論が3本柱。 とはいえ、内容的には、従来の大前本と大差なし。 経済優先のラディカルな改革案をぶち上げ「なぜ日本は変われないのか」と結ぶ。毎度のお約束。 しかし、高齢者主体で、延々保守政…

森永 康平 『スタグフレーションの時代』(宝島社新書 2022年4月22日 第1刷発行)

前回このブログで取り上げた武者陵司『日経平均は4万円になる!』とおなじ宝島社新書、しかも同日付で発行されている。 しかし、両書は日本経済に対する見方が対照的なのが面白い。 『日経平均は』が賃金低下で日本企業の国際競争力が高まると主張するのに…

武者 陵司 『日経平均は4万円になる!』(宝島社新書 2022年4月22日 第1刷発行)

勇ましいタイトルに惹かれ購入。 「安いニッポン」「韓国に抜かれた」など、日本経済の今後に悲観的な論が多い中、本書は真逆のスタンス。きわめてポジティブ。 本書は「安いニッポン」こそ経済復活の原動力だと論じる。 かつて高度経済成長を成しえたのは、…

前田 昌孝 『深堀り!日本株本当の話』(日経プレミアシリーズ 2022年3月8日 1刷)

株好きゆえ、書店で見かけて中身も見ずに購入。 本書冒頭によると、日経電子版に10年間連載された、株をテーマとしたコラムの選集のようだ。 読んでみると、タイトル通り、内容はかなり深く、濃い。 証券業界内の話題・問題を取り上げた項も多く、仕事として…

諸富 祥彦 『50代からは3年単位で生きなさい』(KAWADE夢新書 2021年11月30日 初版発行)

人生の下り坂を意識し始めるのが50歳。いつ終わりが来ても後悔無きよう、3年単位で目的と計画を定めて、充実して生きよう・・ 本書の主題は上記の一文で表すことができる。 ダラダラ過ごすとあっという間に時間だけが過ぎ去る。さりとて大それた目標に今更挑…

兵庫県震災復興研究センター 他 編 『負の遺産を持続可能な資産へ 新長田南地区再生の提案』(クリエイツかもがわ 2022年2月17日 初版発行)

タイトルでわかる通り、ローカル本である。 神戸中心街の西部に位置する交通の要衝、新長田。駅の南側から、整備された地下道が延々連なり、その上にはショッピングモールを思わせる3層フロアの建物が連なる。 阪神淡路大震災以降に2300億以上の予算をつぎ…

池上彰 佐藤優 『無敵の読解力』(文春新書 2021年12月20日 第1刷発行)

ご存じ最強コンビの対談本。 もはや時事ネタ解説のシリーズ本と化しているので、各「シリーズ本」に付けられたタイトルには、たいして意味はない。 5章で構成される本書も、1~3章は時事解説である。 第1章は、しばらく前に話題になった 斎藤幸平『人新世の…

天羽 健介 増田 雅史 編著『NFTの教科書』(朝日新聞出版社 2021年10月30日 第1刷発行)

最近「NFT」なるワードを目にする機会がチラホラ。詳細を知るべく本書を手に取った。 ざっと読み、NFTの大体のイメージはつかめた。 ブロックチェーンを使った技術であり、NFTを使えばデジタルコンテンツに厳密な所有者データを付与したり、著作権を管理した…

廣瀬 陽子 『ハイブリッド戦争 ロシアの新しい国家戦略』(講談社現代新書 2021年2月20日 第1刷発行)

ロシアは文化的には欧州圏内でありながら、政治の性質はEU諸国と明らかに異なる。 専制主義的・帝国主義的であり、軍事力重視。欧米との敵対性を隠そうともしない。 そんな異質の国家の世界戦略に興味を持ち、本書を購入したのが半年ほど前。 まさかその時は…

武田 信幸 『ミュージシャンのためのお金のセミナー』(リットーミュージック 2020年12月10日 第1版第1刷発行)

未知の世界を覗くことができるのも、読書の楽しみの一つだ。 本書は現役のプロミュージシャンとして活動しながら、同時に行政書士でもある著者が、ミュージシャンのために「副業」の見つけ方、「補助金・助成金」「融資」の活用法を指南するという珍しい書籍…

藪 耕太郎 『柔術狂時代 20世紀初頭アメリカにおける柔術ブームとその周辺』(朝日選書 2021年12月25日 第1刷発行)

第一回アルティメット・ファイティング・チャンピオンシップに於けるホイス・グレイシーの活躍は衝撃的であった。 突如「グレイシー柔術」なる格闘技が注目を浴びた。 それまで日本の格闘技界は、UWF系プロレス団体を別とすれば(当時はそれらも「格闘技」の…

小宮 一慶 『株式投資で勝つための指標が一冊でわかる本』(PHP新書 2021年9月30日 第1版第1刷発行)

この著者の経済解説本はとても読みやすく、わかりやすい。そのため、書店で見かけて即購入。 自分自身、何年も株式投資を行ってきて、いまさら株取引の指南本でもないような気もしたが、読み進めると、良いおさらいになると同時に、ちょっとした気づきも得る…

小室 直樹 『小室直樹の中国原論』新装版 (徳間書店 2021年10月31日 第1刷)

ビジネスで付合うにおいて、中国はやりづらい国だ。 個人的な印象では、勝手に仕様を変えたり、契約内容を違えたりと、つまりは「いいかげん」に思える。 その理由を独特の政治体制に求めるビジネス書は多いが、この本はそれらと一線を画す。 本書では、かの…

竹内 純子 編著 『エネルギー産業 2030への挑戦』(日経BP 2021年11月19日 1刷1版)

株式投資の中長期戦略を練るにあたり、今後のエネルギー産業に関する知識は欠かせない。 その目的に本書は合致。 ゼロカーボンの理念や問題点を指摘する書籍は数あれど、本書はそこにとどまらず「いかに産業として成り立たせるか」「いかに日本が世界で勝て…