ロシアは文化的には欧州圏内でありながら、政治の性質はEU諸国と明らかに異なる。
専制主義的・帝国主義的であり、軍事力重視。欧米との敵対性を隠そうともしない。
そんな異質の国家の世界戦略に興味を持ち、本書を購入したのが半年ほど前。
まさかその時は、ロシアとウクライナ間の軋轢が本格的な戦争に発展するとは思ってもみなかった。
本書の前半は、ロシア政界で権勢をふるうPMC(民間軍事会社)、そしてサイバー攻撃がテーマ。
政治や軍事戦略の暗部をえぐるという意味でスキャンダラスな内容を含む。
ただ、内容が緻密で濃厚。その分野に深い関心がなければ少々退屈。
そのため半ばまで読み進めたところで停滞気味となっていたが、ウクライナ問題が勃発してから再び手に取った。
すると、後半のテーマである「ロシア流の地政学」は、今の関心に合致。
ロシアなりの思考パターン・行動原理がよくわかる内容で非常に興味深く読めた。
特に第三章、かの国の外交戦略のバックボーンである「ドゥーギンの地政学」の概要を知るだけでも、ロシア-ウクライナ戦争の背景が幾分かクリアに見えてくる。
日本と比して、GDP1/3の国がこれほど力を持つのが依然不思議ではあるが。
(499文字! ずいぶん前だが、ロシアを観光旅行したことがある。個々のロシア人は親切な印象であったが、国となるとまったく違ってくるんだよなあ・・)