「左翼」には謎が多い。
自分の漠然とした認識だと、左翼=社会・共産主義=マルクス。つまり政治・経済上の主義というイメージだ。
しかし、そうだとすると、世の社会主義国がほぼ崩壊した現在、左翼は意味を失ったのでは?
加えて、最近「左翼はリベラルと名を変え・・」という論調も目にする。え?そうなの?? よくわからん。
さらに近年では、ネトウヨ勢が、自分の気に入らない主張をなんでも「左翼」「左派」ときめつけるので余計に混乱。
そんな左翼を取り巻く混沌に真っ向から取り組んだのが本書。近代日本の政治思想史を振り返り、社会党(現社民党)・共産党の成立ちと盛衰を解説、そのことを通して「左翼」を明確に定義づけようという試みる。
主要人物、エピソードを、時系列にそって、小気味よく簡潔に解説してくれる。
さらには、部外者には謎の多い左翼の理論を平易に解説。その中で、左翼とリベラルはむしろ対立概念ということも語られる。
このあたりの捉え方には、おそらく異論もあろうが、私には読んで腑に落ちる部分が多かった。
さらに左翼といえば、学生運動→過激化、というイメージも強いが、そちらは、なんと続巻で詳しく語られるらしい。今から楽しみ。
(498文字! 社会主義が勢力を持った時代をリアルタイムで知らないので、逆に興味がわく。「資本論」という本に書かれた思想を原点として、過激化し、革命を目指し、国まで作ってしまうというのがよくわからん。そのエネルギーの出所はなんなのだろう。時代背景の影響は本書でも語られるが、それにしても、ねえ。)
▼ 同様の興味から、こんな本を読んだこともある。タイトル・装丁はまじめな本のフリをしているが、実は暗部ほじくり暴露本の面もあり、面白い。
▼ さらに怖いもの見たさで、こんな本も読んだ。過激派どうしの血で血を洗う抗争が妙にユーモラスに語られる。