500字でまとめよ!

最近読んだ本を500文字以内にざっくり、バッサリまとめてみました。

柿埜 真吾 『自由と成長の経済学』(PHP新書 2021年8月24日 第1版第1刷)

格差拡大や温暖化等を契機に、最近マルクス社会主義の再評価気運がある。

 

それを否定するのが本書。帯には「マルクス主義の亡霊に惑わされるな」「資本主義と経済成長こそマイノリティーと環境に優しい」。

 

その論拠は、ベストセラー本「ファクトフルネス」と同じ。あまねく経済発展が世界のの生活水準を向上させるというもの。

 

そこまではよい。しかし、そこからの論調が異色。

 

ソ連をはじめとする旧共産圏をやり玉に上げ、それがいかに抑圧されたひどい社会であったかを縷々述べる。この意図が不明。

 

今の日本で、旧共産圏を良しとする人などいるか?

 

社会主義の再評価というのは、富や資源の分配、環境保護を目的とした資本主義の修正要素としてではなかろうか。

 

読み進めて感じたが、著者は経済を「資本主義」vs「社会主義」の二項対立で捉える。今時珍しい。

 

「温暖化による海面上昇など問題ない。高い堤防を作ればよい」という主張もあり、少々極端な考え方をする人だ。

 

本書の後半では、最近評判の斎藤幸平『人新世の「資本論」』の批判中心。

 

本稿記載の時点で同書未読のため、批判がどの程度的を得ているのはわからない。同書を読んだ上で、後日本記事に補足追記しよう。

 

(499文字! 『人新世の「資本論」』がベストセラーなのに対し、本書は売れないだろうなあ。社会主義の再評価に対する、自由経済主義者からのカウンターというスタンスは良いし、納得できる主張もある。ただ、論が極端・独りよがりに走るきらいあり。何より、時代の空気とスイングしてない。)