勇ましいタイトルに惹かれ購入。
「安いニッポン」「韓国に抜かれた」など、日本経済の今後に悲観的な論が多い中、本書は真逆のスタンス。きわめてポジティブ。
本書は「安いニッポン」こそ経済復活の原動力だと論じる。
かつて高度経済成長を成しえたのは、当時の購買力の低い円・安い賃金ゆえ、日本製品が高い国際競争力を得られたと主張。加えて「安いニッポン」はコロナ後のインバウンド呼び込みにも有利と指摘。
また、大量生産では中国にかなわないため、日本企業は利益の稼げる特定分野や、高度なオーダーメイド志向に転進し成果を上げている点を重視。
日本企業が新たな得意分野にシフトした今、円の相対的な購買力が1970年に逆戻りした今は好機と論ずる。
これらは、世にあふれる悲観論とは真逆の見方であり、意表を突かれた感があった。
たしかに、本書の主張は楽観的過ぎるきらいはある。
しかし、そもそも経済を長期でみれば、波があって当然。
さらには、アジア各国だって近代化している。
変化する世界の中、国の経済なんて良いときもあれば、悪い時もある。
そんな当たり前のことを再認識させてくれる一冊だ。
ただ、日経平均が4万円を突破するかどうかは知らんけど。
(500文字! 日本企業が無理にプラットフォーマーを目指す必要はないという主張にも共感。近年、GAFAMを引き合いに出し、日本企業にダメ出しする評論をしばしば目にするが、環境や前提が違うのに比べてどうする、と常に感じていたので。)