500字でまとめよ!

最近読んだ本を500文字以内にざっくり、バッサリまとめてみました。

大前 研一 『経済参謀 日本人の給料を上げる最後の処方箋』(小学館 2022年4月27日 初版第1刷発行)

本書のテーマは、少子化対策、教育改革、そして道州制的な国家論が3本柱。

 

とはいえ、内容的には、従来の大前本と大差なし。

 

経済優先のラディカルな改革案をぶち上げ「なぜ日本は変われないのか」と結ぶ。毎度のお約束。

 

 


しかし、高齢者主体で、延々保守政権が続くこの国で、激しい改革などできるわけない。

 

ノタノタ試行錯誤しながら、緩やかに変わっていく方が世に受け入れられやすかろう。

 

 


また、教育を単に労働者・技術者の生産と捉えたり、経済効果優先での地域開発論には違和感を覚える。

 

著者は本業が「経営コンサルタント」なので、国の運営を「儲ける」視点から見がち。

 

そして、国際貿易を、あたかも企業の競争と同様に、勝ち負けで捉えてしまうのも特徴だ。

 

しかしながら、リカードの比較優位論を持ち出すまでもなく、貿易は双方が益を得られる国際分業という面もあるはずだ。

 

 


本書の帯裏には「韓国人よりも貧しくなった日本人」などと記されているが、国際競争での敗北危機をやたら煽り、実現性のない自説を推す姿勢に疑問を感じる。

 

著者は新自由主義者を自任するが、主義を声高に叫ぶ「論客」は、その行為自体が商売。

 

本書も、一定の固定ファン向けの焼き直し本。

 

(498文字! 戸籍の廃止など、部分的には賛同できる主張もあるのだが。また、グラフやデータは情報として参考になる。)