共産党と社会党の盛衰を主題とした前作『真説 日本左翼史』から半年。
続編の本書は、過激化し、その後衰退した新左翼を取り上げる。
「学生運動」「新左翼」「過激派」という左翼運動が60~70年代にあったことは知っている。しかしそれらの関連性がよくわからなかった。
また、当時を知らない私にとっては、なぜ共産主義のような現実味のない思想が若者に支持されたのか謎であった。
その当時青春時代を過ごした著者二人が、それら一連の流れをつまびらかにする本書は、上記の疑問にある程度答えてくれた。
本書によれば、大学自治会の会費という学生側の利権が、学生運動の主要因らしい。
要はカネかよ。
そう思うと同時に、腑に落ちるものを感じた。
なお、それ以外の、新左翼各派の抗争や、思想・行動の過激化は、底の浅い話に思えた。
現在の目線から見れば、共産主義に無理があるのは明白。
崩壊したソ連。事実上市場主義に移行した中国。それ以外はそろって低迷・・
そんな思想に拘泥し、引っ込みがつかなくなった連中が追い込まれ、あらぬ方向に暴走、というだけの話ではなかろうか。
著者らは新左翼運動を「政治的には全く何も残さなかった」と否定する。この一言がすべて。
(500文字! 二人の対談の行間から、当時の熱気を懐かしむ雰囲気が漂っている。否定しつつも、心情的には学生運動や新左翼へのシンパシーが幾分かあるようだ。このあたりが、不思議なんだよね~。意味のない騒擾、としか私には思えないのだが。)
▼ こちらが前作。ちなみに、さらなるシリーズ続巻も予定しているらしい。