株式投資の中長期戦略を練るにあたり、今後のエネルギー産業に関する知識は欠かせない。
その目的に本書は合致。
ゼロカーボンの理念や問題点を指摘する書籍は数あれど、本書はそこにとどまらず「いかに産業として成り立たせるか」「いかに日本が世界で勝てるか」というテーマに踏み込んでいる。
故に論が具体的で広範囲。
長年期待されつつも、進展乏しいグリーンエネルギーの現実や、CO2フリー電化を阻害する法制度面の課題を取り上げる。
あるいは需要・供給曲線を使った価格決定モデル、さらには日本の地理的産業分布からエネルギー面での経済圏の最適解を提示する。
もちろん、一般読者向けに極力平易には書かれている。しかし私のような素人が、一読して内容をすべて理解できるものではない。
ただ、日本エネ産業の現在地や、その中でも世界的に存在感を示す企業の紹介、さらには今後の産業の育成など「日本の勝ち筋」の提示は、投資目的なライト読者にも有用であった。
なお、巻頭導入部が「エネ産業が成功/失敗」それぞれの日本の未来を物語調で語るという、ごく一般向けコンテンツで始まる。
そこを書店でパラ見して気軽に購入したが、本編との落差が激しくて面食らったw
(500文字! 全200頁にも満たないソフトカバーだが、中身は濃くて、ずっしり重かった。折に触れてちょくちょく読み直すタイプの本になろう。)