世界的な半導体不足と言われて久しい。
自分のささやかな株式投資においても日々影響が感じられる。
ゆえに半導体とその業界について興味はある。しかし、ごく表面的な知識して持ち合わせていない。
そのため、斯界を深く掘り下げた本は無いかと探していた時に、書店で本作に巡り合った。
一般読者層向けに書かれており、半導体の世界情勢、業界の基礎知識・基本構造から、最近の動向、最新技術までを平易に説明。
さらには、タイトルにある通り地政学(というより地経学)目線での切り口ゆえ、大国の半導体をめぐる駆け引き、暗闘、パワーバランスの相克などを、スリリングに描く。
それゆえ、半導体をめぐる複数のストーリーが本書を縦横に貫いており、読み物として単純に面白く、文中で次々紹介される情報がすんなり頭に入ってくる。
強硬に国益をゴリゴリ追求する米国、これまた強引な中国、さらには世界最高の製造企業を擁し米中の間でしたたかにふるまう台湾。
その他EU、ロシア、もちろん日本も含めて、各国の思惑が絡まる。さらには世界に散らばる有力企業の紹介とその強みの解説など、興味は尽きない。
半導体をめぐる産業情勢や、グローバルな勢力図が大づかみできる快作。
(500文字! ただし地政学系の本は、大国どうしのバトルをエキサイティングに描きがちな面があるので、その傾向は意識したうえで読んだほうが良いかも。)