「音大」なるものには全く縁はないが、それゆえ逆に、未知の世界に興味がわく。
それにしても「崩壊」とは穏やかではない。余計に興味がつのる。
インパクトのあるタイトルを目にして、思わず買ってしまった。
しかし読んでみると、中身は薄味。
音大が直面する実情には関心が持てたし、音大という閉じられた世界での、独特の慣習や文化は面白かった。
ただ、そのようなコンテンツは意外と少量。
その他は、著者独自の教育論と、それに基づく音大の価値づけ、運営戦略。
このあたりは、大学関係者目線での話であり、ポジショントークの感が否めない。
「かつてのような経済成長が望めない日本は、存在感維持のため文化大国を目指すべき。そのために音大の役割は非常に大きい」と主張するが、さすがに論理に飛躍がある。
また、著者は音大の学生数減少を問題視するが、昔のように西欧舶来文化が無条件に憧れであった時代ならともかく、今の時代(音大が圧倒的に重きをおく)クラシック音楽にそれほどの需要はなかろう。志望者は減って当然と思える。
むしろ学生の自然減少こそが、保守的な業界再編・統廃合の起爆剤になりうると考えれば、否定すべきことでもないのでは?
(500文字! なにせ名前からして「クラシック」音楽だもの、保守的であり、現代社会とかみ合わせが悪いのは仕方なさそう・・)