2019年にヒット作となった『日本人の勝算』の続編、というより補完編といえようか。
著者の主張は前作と全く同じ。「日本には小規模な企業が多すぎる。それが非効率化の元凶。効率・生産性を高め、世界に伍していくには、全般的に企業規模を大きくしないといけない」というもの。
本作は、考え方の裏付け資料を多数掲載、解説を加えている。
考え方はわかる。
しかし、読み進むうちに、ツッコミどころもいろいろと思い浮かぶ。
中でも、もっとも大きな疑問が、著者のいうような小企業を統合して規模を大きくする、あるいは人材を大企業が傘下に吸収する、などといったことが可能なのかどうか。
それは、そもそも、資本主義の原則に反していないか?
世界的競争力を持つ大企業は、人材確保やM&Aなどは自分の都合判断で行うだろう。
小企業の合併はなおさら困難。小企業は経営者の物=家業というケースが多いわけで、だれが自分の一国一城を失いたがるだろうか。
ただ、今後人口減少により、競争力の低い小規模企業が減り、大企業(および大企業の卵といえる競争力のある小企業)の比率が高くなる可能性はある。
つまりはこういうことだ。
(491文字! 新作ということで、もうすこし新たな理論展開があるかと期待したのだが。「続編はイマイチ」のパターン。)