元外資系金融機関の金融調査室長による、日本の少子高齢化に対する処方箋本。
主張が簡明でサクサク読める。
・少子高齢化により、このままでは日本は「三流先進国」に成り下がり、財政は危機に陥る。
・しかし日本の労働者の評価は高い(大手先進国としては最高のOECD諸国4位)
・日本の労働者の生産性は低いまま(世界銀行によるランキングで28位)
ゆえに、生産性を上げる余地は十分。ここに注力すれば良い。非常にわかりやすい。
具体的な政策提言としては、
・日本には生産性の低い中小企業が多すぎる。ここをターゲットとする。
・最低賃金をアップし、生産性の低い中小企業に努力を促す。企業全体の底上げを促すとともに、対応できない中小企業を淘汰(これから人口は減るので、企業数も減って当然)。
・社員のスキルアップトレーニングを制度化する(タダ乗りを防ぐため、企業に強制)。
説得力はある。そして著者は「日本政府観光局特別顧問」でもあるので、政府へのパイプ、提言力もあるかもしれない。
ただ、自・公政権にとって、中小企業は票田なので、実行に移せないだろうな~、という気がする。
ほっといて、ゾンビ企業が自然と消えるのを待つのが最良かもね。
(498文字! そんなゾンビ企業のしがない一労働者として思うのだが、硬直した小企業の変革は困難だよね。神の見えざる手に任せるしかなかろう。あとは各人でなんとかしよう。)