500字でまとめよ!

最近読んだ本を500文字以内にざっくり、バッサリまとめてみました。

斎藤 幸平 『人新世の「資本論」』(講談社現代新書 2020年9月22日 第1刷発行)

カバーには「2021年新書大賞」の表記が踊り、売れているらしいが、正直あまり感じ入るところはなかった。

 

一読して思った。なぜそこまでマルクス復権したがるのか。未発表の書簡等まで持ち出して、正当性を訴えるのはなぜ?

 

マルクスの労働・賃金の本質に関する分析は評価するとして、1世紀以上前の人物の言論にそこまで固執してどうする、という気がした。

 

 


本書が訴える内容に共感できる部分はある。資本主義の先鋭化が環境破壊や格差をもたらす面は否定できない。

 

とはいえ、現在世界を覆う資本主義(および競争経済)と貨幣経済を、本書が唱えるようにひっくり返すのは無理筋だろう。

 

多くの地域でそれら経済体制が採択されていることは、それらが結局「最もマシ」だからではないか。

 

また、人間の本性に合致しているからという側面もあろう。

 

おそらく著者は無欲で、公益性を重視する好人物なのだと思う。私も(好人物ではないが)物欲や自己承認欲求が薄いタイプなので、欲望に満ちた資本主義の一面に否定的になる気分はわかる。

 

しかし、世の中、そういう人間は少数派だろう。

 

形はどうあれ人間の本性を抑圧する社会体制は、破綻するだろう。かつての共産圏のように。

 

(498文字! 環境保護を否定するわけではないが、そもそもの問題として「人類は未来永劫存続する必要があるのか(あるいは、可能なのか)」という視点はあってよかろう。例えば10万年単位で繰り返される地球の平均気温サイクルの前には、人間のできることは微々たるものではなかろうか。)