500字でまとめよ!

最近読んだ本を500文字以内にざっくり、バッサリまとめてみました。

下斗米 伸夫 『プーチン戦争の理論』(集英社 インターナショナル新書 2022年10月12日 第一刷発行)

帯コピー「プーチンの頭の中がわかる、入門書にして決定版」に惹かれ購入。

 

ウクライナ情勢には連日注目しているが、この戦争に於けるロシア側の理屈見えづらく、気になっていた。

 

日本入ってくる西側経由の情報では、ロシアの行為を単に「侵略」とする向きが強い。

 

確かにそうなのだが、戦争に及ぶ以上、何らかの大義名分が必要なはず。それは何?

 

ロシア・CIS史を専門とする政治学者が、本書でその謎に答えてくれた。

 

ロシアの言い分としては「ソ連の後継的枠組みであるCISからウクライナが抜けるなら、ソ連時代に付与された土地(クリミアおよび東南部)は返却すべき」。

 

一方、ウクライナの現政権は「CISは円満離婚の為の機構」と捉えている。

 

この決定的な意識の相違が原因と本書は指摘(勿論それ以外の、戦争に至るまでの経緯や各種要因も詳細に解説されている)。

 

思えばCISなど、最近は存在すら忘れていたが、現役の政治機構である。その事実上の盟主であるロシアはCISの枠組みを重要視していたが、ウクライナの現政権(あるいはジョージアも)は全く違ったということか。

 

NATOの近接を恐れるロシアの暴発という単純な見方よりも腑に落ちるように思える。

 

(499文字 上記の結論的な部分は、実は本書のあとがきに簡潔にまとめられている。せっかくの良書なのだが「あとがきだけ読めばいい本」になってしまっており、商業的に損しているような気が・・)