500字でまとめよ!

最近読んだ本を500文字以内にざっくり、バッサリまとめてみました。

手嶋 龍一 佐藤 優 『ウクライナ戦争の嘘 米露中北の打算・野望・本音』(中公新書ラクレ 2023年6月10日 発行)

手島・佐藤コンビ本、現時点での最新刊。

 

地政学要素に重きをおいた、少々大げさな語り口が特徴で、個人的には「知識・教養」ではなく「娯楽」感覚で読むことが多い。

 

ただ、本書については、ロシアによるウクライナ侵攻(以下 侵攻)が注目される昨今、ロシア通の佐藤の言説はタイムリーで、興味深く読むことができた。

 

本書の基本姿勢として侵攻を「あらゆる国連憲章に背き、国際法規に反する、圧倒的な不正義の戦い」と断じつつも、ロシア側からの視座を含め解説。

 

日本における侵攻関連の報道は、西側主導の「民主主義 vs 独裁陣営」的ストーリーに準じたものがほとんど。

 

しかしウクライナ側も大きな問題を抱えた国である点を本書は強調する。

 

国内における民族・宗教・言語の違い、そこからくる分断。つまりウクライナもロシア同様、多問題国家ソ連の裔であり、その問題が噴出した結果が侵攻であると論ずる。

 

そして、本書が導き出す結論は、それぞれ違った来歴文化を持つ西・中・東部はそれぞれ独立させ、欧州に近しい西部は西側陣営となり、露系住民の多い東部はロシア併合も視野に、というもの。

 

終わりなき戦いに当事国が疲弊したのちは、そんな未来に着地するかもしれない。


(500文字! 佐藤氏は、親露発言を繰り返すかつての盟友?鈴木宗男に対して「政治家なので、日露関係を正常化する際の自分の役割を考えて発言しているのだろう」と一応フォローしているのが面白い。)

 

ウクライナ戦争の嘘 米露中北の打算・野望・本音 (中公新書ラクレ)

新品価格
¥949から
(2024/3/10 13:08時点)