500字でまとめよ!

最近読んだ本を500文字以内にざっくり、バッサリまとめてみました。

渡辺 努 『物価とは何か』(講談社選書メチエ 2022年1月11日 第1刷発行)

タイトルからして、本格的で、やや固そうな経済読み物に見える。

 

万人受けする書物ではないように思うが、なぜか多くの書店で平棚に積まれている。

 

「物価高が何かと話題となる昨今、時流にマッチして注目されているのかな?」そう思い購入。

 

そして読んでみて驚いた。中身は読み物どころか、本格的な経済学書ではないか。

 

物価理論を、その歴史から紐解き、最新の研究課題にまで言及。そして経済学的テーマへと話を広げる。

 

特に「物価の制御」「デフレからの脱却」についてが本書の主題で、ページを大きく割き解説する。

 

これらは大学専門課程レベルの内容ではなかろうか。

 

しかし、それを一般読者向けに、やわらかい語り口で極力平易に解説するのが最大の特徴。

 

 


さて、経済学は「社会科学」と言われるが、本書を読むまで、それはやや比喩的な表現かと私は思っていた。

 

ところが、本書で語られる研究者の姿は、日々市場で当たり前に行われる価格の設定・更新を、膨大なデータから観測、仮説を立てて分析を行い、一般的な理論の確立を目指す。

 

自然科学的な普遍法則の追求とは方向性が異なりはするが、これはまさに「科学」の基礎研究と言えよう。

 

本書を読み、経済学の見方が変わった。

 

(500文字! 今年読んだ本の内、今のところ私の「本年のNo.1本」。)

 

物価とは何か (講談社選書メチエ)

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