500字でまとめよ!

最近読んだ本を500文字以内にざっくり、バッサリまとめてみました。

小林 基喜 『さよなら、野口健』(集英社インターナショナル 2022年3月30日 第一刷発行)

以前「タレント登山家」というべき栗城史多氏の生涯を追ったノンフィクション、河野啓『デス・ゾーン』を読んだことがある。

 


実力に見合わない挑戦を行い、悲劇的な最期を迎える栗城氏。しかし、いかに「登山家」として世に出るか、その自己プロデュースと行動力は、山師的ではあるが、すごさも感じた。

 

▼ 河野啓『デス・ゾーン』レビュー

500moji.hatenablog.com

 

その栗城氏と、ある種「タレント登山家」として双璧といえるのが野口である。

 

本書では、野口氏の行動力と企画・アピール力、その裏面の人間としての欠点が、活動の初期から友人、そして事務所スタッフとして過ごした著者により描かれる。

 

ただ、本書が『デス・ゾーン』と決定的に異なるのは、主人公が登山家ではなく、著者という点。

 

本書のテーマは「野口とかかわった自身の半生記」であり、著者の自分語りパートが思いのほか多い。

 

これは、読んでいてしんどい。

 

なにせ、まったく知らない人の独白記である。

 

野口に対する愛憎や、精神的な苦痛などが色濃く描かれ、文学的な雰囲気も漂わせるが、著者の自意識過剰が殊更強く感じられ、「しらんがな」とツッコミを入れたくなる。

 

この手の書籍は「暴露本」的な要素もはらむ。そこに著者のエゴがかぶさると、余計にゲスく感じる。

 

(499文字 似たものどうしという面は否めないが、野口氏は、栗城氏よりかは、まっとうな登山家に近いように思えた。)

 

さよなら、野口健(集英社インターナショナル)

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