終わりの見えぬウクライナ戦争。
本書は、今後起こりうるシナリオを複数想定し、その中で可能性の高いものについて深く考察、戦争終結(もしくは休戦)への道筋を探る。
そして本書が落としどころとして着目するのが、戦争初期段階の停戦協議に於いてウクライナ側が示した条件(ざっくりまとめれば「NATO非加盟、核兵器非保有、クリミアと新ロシア派が実効支配していた地域は別途協議」)。
ある意味現実的であり、類書でも同様の意見はよく見られる。
確かに、ロシア系住民の多い両地域がウクライナ領であることが、戦争の重要な一因ではある。
とはいえ、ウクライナ側からすれば、既に蹴られた停戦条件なので、今更両地域を「別途協議」も無かろう。
また、今更ロシアも引くに引けない状況であろう。
結局のところ、延々「戦闘続けど成果なし」に疲弊したロシアが譲歩に踏み切らないと、停戦にすら持ち込めない。
しかし、そのような敗北色の強いの決定は、プーチンが権力を喪失した後にしか起こりそうにない。
内乱や暗殺でプーチンが排除される可能性もゼロではないが、軍事政権色の強い専制国家故、難しかろう。
唯一の希望はプーチンが高齢であることではなかろうか。
(496文字! 本書のメインパートは2/3ほどで、終盤1/3は日本の国際協力についての紹介で占められる。増量して1冊にした感がある。)
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