近代以降の戦争について、その収束のしかたを研究した書籍である。
ロシアによるウクライナ侵攻が日々報道される中、タイムリーな内容ゆえ手に取った。
本書で考証対象となっているのは、二度の世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争・アフガン戦争・イラク戦争。
ただ、登場人物の人名やエピソード等、情報量が非常に多く、歴史的なベース知識がないと真に読みこなすのは困難。
浅学な私では、表層をなぞった形で読み終えるのが精一杯であった。
ただ、本書の述べる要旨は、戦争の結末とは「現在の犠牲を払っても、相手を叩きのめし、要求を呑ます」~「現在の犠牲に考慮し、妥協し、お互い遺恨を抱えたまま終える」の両極端の内で決まるということ。
とはいえ、たとえ圧倒的な戦力差があれども、相手が降伏しなければ、更なる犠牲を払ってでも徹底的に叩くか、多少妥協を交えて犠牲を抑えるかの決断が求められる。一筋縄ではいかない。
このたびのウクライナ侵攻のように、膠着した鬩ぎあいが続く場合は、犠牲ばかりが増え、最後は泥縄的に不完全な妥協休戦になる可能性が高い。
その場合、遺恨が残り、再発の可能性も常に残るだろう。
読み終えて、暗澹たる気持ちになった。
(499文字 司馬遼太郎の本だったか「戦争とはごく一部の人間以外にとっては損しかない」という意味の一文を目にしたことがある。本当にその通り。日々ウクライナ侵攻のニュースを見るたびに、特にロシア指導者に対して「人命をなんだと思っているのか」「そのくせ自分は安全なところにいるくせに」と強く思う。)