上記表題の他にも「太平洋戦争・日米開戦前夜」「リットン報告書からハル・ノートへ」という副題がついている。
なぜ日本は、とうてい勝ち目のない米国と開戦するにいたったか?
この点がテーマであろうことは表紙を見ただけでわかる。
戦時中日本軍の組織研究の名著「失敗の本質」に絡めたタイトルにも惹かれた。
そして読んでみたのだが、なんと小説であった。
とはいえ、著者は大学名誉教授。自信の研究と考察をふんだんに盛り込んだ上で、一般読者でも読みやすいように小説形式とした旨があとがきに記されている。
一般に、日本を戦争に追い詰めたとされる「ハル・ノート」について、従来とはやや違った角度から解釈を試みている。
そして、ハル・ノートの裏には、あの国の意図が・・おっと、これ以上はネタバレになるね。
最後のエピローグで、著者独自の見立ての裏付けを開陳している。
小説形式なのでサクサク読めるし、戦前・戦中の主要人物がオールスターキャストで登場する。
なかには、さしたる用もないのに顔を出す人物もいて、読者サービス満点w
私のように「大戦期に多少興味がある」程度の者には、主要人物が網羅されて、おおよその流れが把握できる本書はうってつけ。
(499文字! イデオロギー色がなく、歴史そのものに焦点を当てたスタンスも◎。ちなみに文庫書下ろし作品)
▼ 関連書籍といって良いのか? 日本軍組織の問題点を考察した名著。歴史モノというよりは、組織論の本。