本書を手に取って、ジェントロジーという言葉を知った。
日本語では「老年学」と訳されることが多く、ややもすると老齢=社会問題としてと捉えがちであるが、本書では「老人の健全な社会参加を実現するプラットフォームの構築」をジェントロジーの本分と訴える。
ただ、簡単には答えの出ないテーマである。
本書では議論の前提となる広範な知識が述べられ、様々な切り口からジェントロジーを論ずるが、明確な結論が語られるわけではない。
そのため、モヤモヤした読後感が残る。
一応の結びとして、最後に「老いても働こう。それは「カセギ」(生活のための労働)ではなく、「ツトメ」(社会活動)のために」という考え方が述べられる。
ただ、著者の寺島氏が見る限り「小さな組織は内部での争いだらけ」「俺は偉いんだ症候群」とのこと。う~ん、前途多難。
たしかに、老いても積極的に社会参加する人は「偉いんだ」「ワシの話を聞け」がモチベーションのタイプが多かろう。
本人の心構えが重要なだけに、老いての「ツトメ」は難しそうだ。
(459文字 個人的には、老いてはあまり出しゃばりたくないな、と思う。)