新型コロナの発生から、その後の政府や医療関係機関の対応、そしてメディアの姿勢等を、現時点で総括した本である。
一般向けを意識して平易に書かれてはいるが、学術的な側面も強い。時系列的に様々なファクトを並べ、俯瞰的に関連性を考える。
明確でわかりやすい「論理のストーリー性」は薄く、大向受けするタイプの書籍ではない。
しかし、手持ちの本の奥付を見ると「10月10日第2刷」となっており、意外と売れている。
これは、コロナ禍での「インフォデミック(情報のパンデミック)」というワードにスポットを当てた点が要因かと思う。
コロナ報道について「センセーショナリズム先行」「怖さを強調する情報ばかりが強調」「いい加減な情報も混じる」と感じる人は多かろう(私もそうだ)。
しかし、この点を論じるメディアは本当に少ない。
本書では、SNSやワイドショー的なTV等から拡散する情報、それがどのような影響を与えるかの考察から、現代社会における「リスクコミュニケーション」の模索へと至る。
スカッと結論が導き出されるわけではないので、モヤっとした読後感が残る。
しかしそれは、今回のコロナ騒動があぶり出す、情報社会のリアルなのだろう。
(496文字! TVをはじめとするメジャーなマスコミがスルーしてしまう側面を突く。オワコン風に語られる「本」には、そういう役割があるんだ・・と、改めて感じる次第。)