これまで当ブログでは、2冊の「新型コロナ対策本」を紹介してきた。
いずれも、感染症の専門医の著作だ。
次いで取り上げる本書は、医師ではなく、ウイルスの研究者による著作である。
学術書の専門出版社から出ている本なので、これまで紹介した2冊とは大きくスタンスが異なる。
感染防止のハウツー的な内容も含まれてはいるが、どちらかというと、新型コロナウイルスやウイルス学の概要を大まかに理解することに重点が置かれている。
新型コロナの感染拡大の経緯の解説にはじまり、ウイルス学、ワクチン開発、治療薬開発など、内容は幅広い。
そして、専門的な研究分野に一歩踏み込んだものになっている。
もちろん、一般読者向けに書かれた本なので、文章はごく平易だ。
とはいえ、研究開発の紹介にあたっては「リボソームフレームシフト」や「PCRの原理」といったムツカシイ専門用語も出てくる。このあたりは、私の理解力では到底及ず(図解されても、よくわからない。サラッと読むにとどめておく)。
「新型コロナ対策」ハウツーを期待する人には、正直なところ、不向きな内容だ。
新型コロナウイルスの話題に接して、もっと深く知りたいと思った人には適した、良書だと思う。
(500文字! マスクの有効性については、これまで当ブログで取り上げた3冊の「新型コロナ本」において、三者三様といった感がある。
専門家の間でも、一般向けの感染防止ハウツーについて、基本的なところでも意見が割れている状況といえようか。
結局、知識を身に着けて、自分が納得いく形を模索するしかないね。)