このところ書店棚に増殖中の「新型コロナ本」の数々。
しかし、それらの多くは、荒っぽく急造されたものに見える。恐怖を煽ったり、「免疫力アップでコロナ撃退」を謳ったり、怪しいものも見られる。
私は、その手の本は信用しない。
読むなら、感染症の専門家が(監修等ではなく)自分の名前で出している本でないと。
本書は、感染症の専門医が、一般読者向けに、感染症防止策をやさしく解説した本だ。
それだけに説得力がある。
しかし、プロ仕様だけに「日常生活で、そこまでやれるかいな」という防御策も多く紹介されている。
著者もそこはわかって書いており「できるかどうかはともかく、本格的なやりかたを紹介する」というスタンスをとっている。
本書を読んで思うのは、感染のリスクを本気で下げようとすれば、生活に相当な不便をかこうという事実だ。
そして、著者が本書の中で明記しているが「可能性はゼロにはできません」「感染するときは、感染する」というのも、また事実。
そのため、どこで折り合いをつけるかが重要。
それは自らが決めるしかない。
その判断材料として、本書は有用だと思う。
世に流布する、いい加減な言説をうのみにせず、自分で考えよう。
(493文字! 前回取りあげた「新型コロナウイルスの真実」と併せて読めば理解が深まる。
本書「自衛マニュアル」がガチガチのディフェンス系とすれば、「真実」はリスクを受け入れつつ、社会や生活の負担を減らした形での折り合いを推奨する。
両書のスタンスは全く異なるが、双方が推奨している感染防止策は、マストと考えてよかろう。)