自衛隊には、内部でもほぼ知られていない「別班」と呼ばれる秘密諜報部隊がいる。その存在は首相、防衛大臣にすら知られていない。
旧陸軍中野学校の系統を引くともいわれる、ナゾのヴェールに包まれたスパイ組織「別班」。
その曖昧模糊とした存在に、共同通信編集委員が記者生命をかけて挑み、2013年に特集記事を特ダネ配信するまでの迫真のレポ。
・・ということだが、渾身の特ダネ記事に対して、世間の反応はイマイチという結果に(とほほ)。
当然ながら政府や自衛隊はその存在を公式には否定。秘密組織だもんね。「ばれました?」なんて言うわけないね。
さらに、本書を読み進めるうちに、別班がショボいものに思えてくるのはなぜだろう。
実際、存在を暗に認める自衛隊高官も別班を盲腸に例える。その心は「役に立たない」「無くても支障ない」。
別班(ムサシ機関など異称多数)については、これまでも暴露的な本が出版されてきたそうな。それでも大きな問題になってこなかったのは、別班が、その程度の存在だからではなかろうか。
限られた予算の中から、秘密組織をコッソリ作ったとしても、やはり予算なりのものしかできないんではないかと、個人的には思った次第。
(498文字! かつての特ダネ記事が不発に終わったことに対する、リターンマッチ的な一冊。一読者にその真相などわかるはずもないが、読み物としてはスリリングで面白い。)