今はどうか知らないが、大昔、私が学校で学んだ歴史は、個人名と年号がやたらと出てくる教科であった。
つまり歴史=それらの暗記。学校のテストでも、入試でもそれしか問われなかった。
詰め込みの暗記は、必要がなくなるとすぐに薄れていく。
そのため、今ではぼやっとした流れといくつかの人名程度しか頭に残っていなかったりする。
そういう歴史の学び方に異を唱えるのが本書。
人名に個々の出来事ではなく、社会・制度・産業・文化などの変容の流れを大雑把に、わかりやすく説明する。
そのため、非常にとっつきやすい。
本書の前半では、国家のシステムの変遷を古代から現在まで振り返る。
そして、後半では、農業、神話、土地所有、男女関係(家族)、戦争等のテーマ別にざっくりと歴史を論じる。
その中で、古くからの伝統だと思っている物事が、意外と歴史が浅いことがわかったりと、面白い。
サクサク読めてしまうのに、新たな知見が多く、私にとってはお買い得な1冊であった。
ただ、驚くほどスラスラと、歴史が俯瞰的に(ある種メカニカルに)語られてしまうので、読後感はあっさり薄味。
興味を持った各トピック以外は、やはりイマイチ頭に残っていない気が・・
(494文字 人によっては「日本史はこの一冊で十分」となるかも。)