単純に面白さだけで評すれば、今年読んだ本でダントツNo1だ!
大阪は中津の生んだ「闇紳士」許永中。
在日コリアンであり、幼いころから不良として鳴らしたケンカ度胸と腕っぷし、機転と人脈を武器に、バブル期のアングラ世界でグイグイのし上がった様が本人の弁で活写されている。
元総理など大物政治家、有名事業家から、暴力団の大親分、その他有象無象が実名(一部は仮名)で入り乱れ、巨額マネーや権力、果ては理念を争うバトルロイヤルや~!
ホントここまで書いてよいのか?と思うエピソードもいろいろ。
自らの波乱万丈の人生を振り返り、書籍として世に残したい・・そんな思いから、吹っ切って書いた本かと思う。だからこそ、面白い。
この手の「ピカレスク・ノンフィクション自伝」の類は、主役である本人をカッコよく描くケースが多く、本書も例外ではない。
書けないエピソードなども多かろう。
そのため、本書のみで許永中の人物像を額面通り捉えることはできない。
とはいえ、アングラ闇紳士を深く理解する必要もなかろう。単純にエンタメ・ノンフィクションの一種として楽しめばよい、と思う。
バブル狂乱の裏側にこんな世界が広がっていたのか、という感慨と共に。
(499文字! 御堂筋線の「中津行き」に乗るたびに、闇紳士を思いだす。。)