世界三大投資家の一角、ジム・ロジャーズ御大による、日本のファンに向けた投資アドバイス本。
あるいは、投資という切り口から、世界経済情勢を俯瞰した本というべきかな。
平易な言葉で語られる未来予測は、アメリカ、中国、インド、ロシアなど、世界中をひょいひょいと飛び回る。
「なるほど~!そういう見方もあるのか」と気付かされる点も多い。
また、親日的な投資家でありながら、アベノミクスに対するキッパリ否定的な見解は興味深い。
そんな盛りだくさんの本書の中で、もっともインパクトがあるのが、北朝鮮に対する超々ポジティブな予想。
御大曰く、北朝鮮はこれから開国に向かい、そうすれば世界各国から資金がなだれ込み、二ケタ成長を遂げる。
さらには、韓国との統一が実現すれば、両者が弱点を補い合う形になり、朝鮮半島に「幸福な20年間」が訪れる・・という。
それを見越しての、北朝鮮関連の有望な投資分野についての記述すらある。
さすがにそんな簡単にはいかないだろう、と個人的には思う。
また、楽観的な予想の根拠も、イマイチピンと来ない。
しかしそれは、もしかしたら日本人ならではの常識にとらわれた見方、バイアスなのかもしれない!?
(493文字! ここまで北朝鮮にポジティブな内容で、日本の大手出版社から本を出してしまうのが、さすが「冒険投資家」ジム・ロジャーズ。普通、企画の段階でNGだろう。)