私は仕事としてネット通販の店舗運営に関わっており、楽天店舗を担当していたこともある。そのため、つい気になり本書を手に取った次第。
一橋大~興銀~ハーバードでMBA取得という経歴から、本書を読むまでは、さぞかしエリート然とした人物かと思っていた。しかし少年期までは全くことなり、悪童的であり学校成績も振るわなかったのは意外。
おそらく一般的な学校の枠組みは、彼には狭すぎたのであろう。
枠に捉われない、アグレッシブな「企業家精神」がこれからの日本を変えるという主張が本書全体に通底している。
大枠で物事の本質をつかみ、失敗を気にしない。海外志向という姿勢は、そのまま楽天の企業体質に反映されているように思う。
(ちなみに私は株式投資を通して、楽天を観察しているが、失敗が非常に多い企業という印象がある。)
もちろん、この手の本の常としてプロパガンダ色が強い。また、見方によっては独善的に映る部分もある。
ただ、敵を作っても自らの主張を躊躇わないアクの強さと、理詰めで通そうとする個性。まさに「問題児エリート」。今後も興味を持って見ていたい人物ではある。
(497文字!)
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【文字数に含めない後書き】
仕事として接したためか、正直なところ私は楽天に対して好感は持っていなかったりする。
また楽天に限らないが、ネット通販企業の隆盛は「面倒なところは運送会社に押し付けてのオイシイとこ取り」で得られた成果である点は疑いないところ。
本書のようなプロパガンダ本を読む際には、明暗の「明るい部分」しか書いていないという認識は必要かと思う。