ここ数年、中国の新疆ウイグル自治区を巡る問題がしばしば報道される。
それら報道を見て、なんとなく「中国共産党が、地方の異民族地区を力で抑えつけている」というイメージを持ち、批判的な感想を持っていた。
しかし、よく考えると、その問題の詳細はあまり知らない。これではいかん。
そこで、新疆地区の来歴が一通りわかる本書を手に取った。
読んで感じたのは、近代化の遅れたこの地域が、中国とソ連という当時の共産国にはさまれていたのが不幸の始まりであったこと。
この地区が独立を保てる目はなく、そして、イスラム教圏である以上、どちらにつこうとも、良い結果にはならなかったろう。
世界大戦を経て、歴史的に関連の深い中国がこの地区を飲み込む形になったが、強権主義で、当地の文化や慣習を解体しようとする共産党政権への反発は必至。
そうなると、登場するのが「反乱分子」を閉じ込めるための強制収容所。
中国側は「単なる職業訓練所」と称するが、設置された監視塔と鉄条網がこの施設の正体を物語っている。
宗教や土着の文化・慣習を軽視し、強権でコントロールすれば中国に同化させることができると考える共産党が、自らの誤りを自覚する日は来るのだろうか。
(500文字! ただし、本書末尾でも触れられている通り、欧米発の批判にも不正確な部分があり、注意が必要だ。)
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