帯の「ビルゲイツ絶賛!」に惹かれて購入。
貸借対照表において、おなじみだが、やや影の薄い「無形資産」にスポットを当てた本だ。
現在の企業活動において、いかに無形資産が重要かを、ひたすら解説する。
その趣旨はわかる。
現在のグローバル企業の根幹をなすのは、アイデア・ノウハウ・技術・設計・特許・版権などの無形資産だ。
ただ「無形」がテーマなので、文章で語ると、話がどうしても観念的になってくる。
また、言葉で分類し、定義する場合、四捨五入を強いられる場合もある。
読んでいてもどかしい。
当たり前と考えられている事項に、言葉を尽くして追求する本書は、社会科学的だ。
そう、本書は一般向けに平易に書かれているが、「経済読みもの」ではなく、学術書に近い。
(しっかりした索引・参考文献一覧が巻末に付されていることからも、それがわかる。)
そのため、読後のすっきり感はない。
しかし、論旨をふまえて、イメージを膨らませつつ読まねばならないので、頭の体操になる。
そしてそれは、現在のIT系プラットフォーマーをはじめとする、現在の大企業の、パワーの源泉について考えることにもつながる。
そのあたりをビルゲイツは称賛したのかな?
(494文字! 帯裏に、ひっそりと『フィナンシャルタイムズ』ベスト経済書、と記載されている。ビルゲイツの名とともに、帯の表に入れたら、もっと売れそうだけど・・)