珍しく小説を読んだ。
昔はよく読んだが、歳を食ったせいか、すれっからしになったせいか、「所詮作り話でしょ」と、フィクションにあまり興味を持てなくなってしまった。
しかし、本作は、2017年に世間を騒がせた「積水ハウス地面師事件」をモチーフとしているとのこと。あの事件には未だ興味を持っているので、本作を読んでみることにした。
実際のところ、本作は積水事件の小説化ではない。キャラも架空のもので、実際の事件の犯人たちに合致するわけではない。
とはいえ、クライマックスとなる事件の流れは、完全に積水事件を下敷きにしたものだ。
ただ、積水事件について個人的に気になっている「建物の合鍵をいかに用意したか」という謎は、本書でも解き明かされることはなかった。本作でも合鍵が終盤の重要な小道具になっているが、用意の経緯はぼかされている。残念。
なお、最近のエンタメ小説は、キャラがなんだか漫画チックなことが多く、本書もしかり。この点、少々興ざめ。おそらく作家が、ハナから映画・ドラマ化を念頭に書いているせいではなかろうか。
読んで、それなりに面白いのだが、一方で「実際の事件のほうが、リアルで面白い」と感じてしまうのも事実。
(499文字 積水事件そのものを、地面師視点で小説化したら、ぜったい面白いと思う。)
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▼ こちらは地面師を扱ったノンフィクション。積水事件のすぐ後に、親本が出版された。個人的には、こちらの方が面白かった。やっぱり現実は小説よりも奇なり、というか面白し。
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