Kindle Unlimitedを通して、思わぬ著作に遭遇することがある。
本書もその一つ。
読んでみると、少々タイトルのイメージとは内容が異なる。
いわゆる「借金のかたでマグロ漁船」というわけではなく、田舎のヤンキーがマグロ漁船に数年就職、その給金を借金を抱える実家に入れた、とういう程度の話。闇深な話ではない(むしろ親孝行)。
ただ、地方ヤンキーの生態や、マグロ漁船というビジネス、船内での業務、などがわかって面白かった。
驚くべきはその給料の安さ。
過酷な労働、パワハラ当然、逃亡不可のブラック職場。ところが給与が全く見合わないように思える。
著者略歴の年齢から察するに、本書の経験談は30年余り前の話と思われる。
しかし、その時期、世はバブルのはず。いくら見習い、そして一航海毎の契約とはいえ、1か月ほどで手取り10万余りとはひどすぎる。
世にいう「借金のかたでマグロ漁船」は、著者は十分あり得る話というが、この稼ぎでは借金減らないだろう(乗せる側からすれば逃げられないという利点はあろうが)。おそらくそれは、都市伝説的に誇張された話ではなかろうか。
(496文字! 知らない世界を覗くのは読書の楽しみの一つだが、本書などはまさにそう。)
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